夜の騎士のあれこれ噺

世の中にはあれ?これ?と思うことがいっぱい。

小田原「自然エネルギー.施設・遺跡」見学

本日の午後、「脱原発はだの」の女性スタッフUさん、Sさん、男性スタッフのMさんと私の4人で小田原市を訪れ、自然エネルギーの推進に官民農で取り組む施設2か所と施設予定地1か所、そして小田原市が電力の地産地消に取り組む礎となった100年前にこの地で設置された水力発電所の遺跡の合計四か所を見学してきました。

案内してくれたのは、自然エネルギーを推進することで地域経済を活性化するというビジョンのもとに、地元企業、地元の農業従事者にビジネスとしての魅力を訴え理論、ビジョン、行動力、リーダーシップ、馬力、説得力
を持つ自然エネルギー推進の若きリーダー(まだ30代のはず)として、この世界では全国的に名前が知られている小山田大和さんです。

見学の最初は小山田さん自ら立ち上げた「かなごてファーム」が設置した「ソーラーシェアリング」の現場

ここは休耕地だった約360坪(一反二畝)の土地に地上
約2m高さ、地下1.8mに建てた支柱の上に太陽光パネルを設置したもので、現在はそこで「さつまいも」を栽培しているそうです。この施設の開所式の時には自然エネルギーの推進に取り組む小泉純一郎元首相も来て挨拶されたほど注目された事業です。。

発電能力は11.96KWで申請しましたが、実績では15.12
kwと好調に推移してました。

設置費は太陽光パネルと支柱費用で約330万円、周辺
整備に約70万円の総額400万円かかりましたが、認可時の売電価格の24円/KWが20年間保証されるので、
農作物の販売収入を合わせ約10年で償却する計画
だそうです。

ただ問題の一つに栽培物の農作物の収穫量が県平均の収穫量の平均の80%を確保するというのが農地転用の条件になっていて、3年ごとに事業の見直しがあるんだそうです。これは厳しすぎるといって役所の方に
改善を求めているそうです。だってもともとは休耕地で農作物の収穫はゼロだった土地を収穫できるようにしたワケですから,例え県平均の30%であっても、その土地がゼロから平均の30%の農作物を生産できるようにしたんだから、いきなり80%といわれても無理にきまってるじゃん、という誰にも分る理屈ですよ。

次に訪れたのが「桑原地区」にソーラーシェアリング設備を施す予定地・・・

予定といっても設置そのものは決まっていて、設置工事に取り掛かる時期が調整中のようです。

ここは、この農地の所有者が現在86歳の湯河原在住の農業者で自分では、もう農作業ができないため、やむなく休耕地になってしまった土地だったので、そこにソーラーシェアリングを設置し「自然稲作農地」として蘇らせようというプロジェクトで、現在の21円/kwの売電価格が20年間保障される2018年の7月までには完成させる目標に向けて活動してるそうです。通行車両の目を惹く場所なので完成するとかなりのアピール効果が見込めますね。

発電能力は申請は50kw,ですが実勢としては70kw程度は大丈夫との見通しで、すべて九州の「自然電力」に売電するそうです。

またその時期に合わせた来年の7月13日、14日の2日間、小田原市に「ソーラーシェアリングサミット」の開催を誘致したそうです。(100人規模)・・・これは一般の参加もOKとのことですから、本日の4人も参加するつもりです。

その次に訪れたのは「ほうとくエネルギー(株)」が設置した「メガソーラーシステム」・・・

この土地は県の公共残土の廃棄場で(まぁ、早い話が
「ごみ捨て場」の谷)だったんですが、ごみが溜って谷が埋まってしまい使い道がなかったところを利用した
規模太陽光発電所(メガソーラー)です。

発電能力は1号機が987kw、2号機が750kwで、合わせて約1.75MW(メガワット)です。

稼働は2013年ですから売電価格は40円/kw×20年保証です。

ほうとくエネルギー(株)は中小企業38社が設立資金
5400万円を分担した会社で土地の権利は「山貸し方式」とのことでした。このような形態の経営は秦野市でも可能なのかも知れません。

そして最後に訪れたのが「旧辻村水力発電所跡」・・・
ここは「辻村家」という山林王の6代目当主常助氏が
現在の価値に換算すると約5億円の私財を投じて大正6年ごろに建設された水力発電所で自家所有の製材所や自宅及び紡績工場に送電されてました。

これは現在からちょうど100年前のことですよ。
発電機はドイツから輸入した最新式のものを設置してあったたそうです。

小田原市は海と山、そしてそれらを繋ぐ河川あるいは森林などの豊富な自然環境に恵まれた地域のため、昔から市内の河川や用水路では水車が広く活用されており,予てより自然エネルギー活用の土壌が育まれた土地柄だったんですね。この辻村家の水力発電所も
その一つです。そのDNAが小山田さんを始めとする地域の人たちに脈々と受け継がれているなと感じた見学会でした。

この発電所は昭和22年まで稼働していたそうですが、辻村家の諸事情により閉鎖され放置されたため発電機等めぼしいものは盗まれてしまったので、その後は土砂が溜まり埋没しまいましたが、小田原市における「再生可能エネルギーの象徴」として「旧辻村水力発電所」を復元し、先人の英知に学ぶと共に小田原の宝の一つとして、この遺構を復活させたいとの機運が市民の間に盛り上がり「旧辻村家水力発電所を復元する会」の呼びかけに応じた数十人の市民がスコップ片手に掘り返して過去の姿が復元したそうです。

ほんとに小田原の「宝」だと思いますが、まだまだ一般には認知されてないのが残念だと思いました。市の観光課あたりが周辺(駐車場、案内板等」整備して宣伝しすべきだと思った遺構でした。

長くなったので、ここら辺で止めときますが。その外にも私とUさんにとって大きな収穫があった見学会となりました。

  ☆画像  上から
     ・小山田さんが経営にからむソーラーシェア        リング農地(さつまいも栽培)
     
     ・来年稲作農地として休耕田にソーラーシェ        アリングを設置する予定の農地・・・来年ど        のように変わってるか楽しみな土地です。

     ・「ほうとくエネルギー(株)」の大規模太陽光
      発電所

     ・旧辻村家水力発電所遺構


イメージ 1

イメージ 2
イメージ 3
イメージ 4