夜の騎士のあれこれ噺

世の中にはあれ?これ?と思うことがいっぱい。

神奈川県各所で採用されていた「育鵬社版」中学歴史・公民教科書の不採択が決定

横浜市教育委員会は、昨日,市立中学校と義務

教育学校計147校で来年度から4年間使う歴史と公民の

教科書にそれぞれ帝国書院と東京書籍の教科書を

採択し、いままで採用していた育鵬社教科書の

採択をしませんでした。また育鵬社教科書を

採択していた藤沢市小田原市鎌倉市教育委員会

育鵬社版の不採択を決定したようで、育鵬社版採択の

反対運動を続けて来た各市の市民団体もホッと

していると思います。

育鵬社自由社の歴史教科書は、歴史を歪曲し、日本の

侵略戦争・植民地支配を正当化するものとして

広く知られているうえ、憲法を敵視し、その内容を

否め、憲法「改正」の必要性を子どもたちに

刷り込むことを狙う内容のものでもありました。

具体例・・・

大日本帝国憲法明治憲法)は、「古くから大御宝

 (おおみたから)と称された民を大切にする伝統」を

 取り入れた、「アジアで初めての本格的な近代憲法として

 内外共に高く評価されました」と書く一方、日本国

 憲法は「GHQは…、自ら1週間で憲法草案を作成

 したのち、日本政府に受け入れるようきびしく

 迫りました」と押し付け憲法論を展開しています。

国民主権の項の見出しは「国民主権天皇」で、

 国民主権の説明は14行しかなく、4枚の写真の内

 3枚は天皇であり(この教科書の天皇の写真は計7枚!)、

 本文では天皇についての記述は20行を使い、2つの

 コラムは「皇室と福祉」「日本の歴史・文化と天皇」で、

 実に3分の2が天皇についての内容となっており、

 「国民主権」の名で「天皇主権」を教え込む内容と

 なっています。

③この教科書では、基本的人権を制限できる「公共の

 福祉」として破防法、公安条例、通信傍受法、公務員の

 ストライキ禁止などをあげ、国家と個人の権利の対立は、

 公共の福祉によって制限できるとされています。

④「平和主義」の項では、「連合国軍は日本に非武装化を求め、

 その趣旨を日本国憲法にも反映させることを要求しました」と、

 平和主義は連合国の押し付けという説明が10行でされていますが、

 憲法9条についての説明はなにもされていません。そして

 残りの3分の2ページを使って、自衛隊の説明、憲法

 平和主義が現実の国際政治と異なっていることなどが

 書かれています。写真は2枚とも自衛隊であり、資料に

 「各国の憲法に記載された平和主義条項と国防の義務」

 として、5カ国の憲法にある「国防の義務」を紹介しています。

⑤第5章「私たちと国際社会の課題」の第1節「国家と国際社会」の

 「日本の安全と防衛」の項があり、そのページの上段にはイージス

 艦、戦車、戦闘機の写真があり、自衛隊の規模を示す表があり、

 本文では「戦後の日本の平和は、自衛隊の存在とともにアメリ

 軍の抑止力に負う所も大きいと言えます。また。この(日米安全

 保障)条約は。日本だけでなく東アジア地域の平和と安全の維持

 にも、大きな役割を果たしています」と強調しています。さらに、

 北朝鮮、中国の脅威を述べて、自衛隊の増強、有事法制の必要性、

 自衛隊国際貢献である海外派兵のための法整備の必要性を

 強調しています。以上のように育鵬社教科書は「平和主義」の

 名の下で、中学生に「戦争主義」を刷り込み、「憲法改正」の

 2012年の自民党改憲案に賛成するよう誘導する内容になって

 います。この教科書の後ろで日本最大の右翼団体日本会議」が

 暗躍していることはマチガイないでしょうね。中学生

 から「国体教育、愛国教育」を洗脳して、全体主義国家を

 復活させようと目論む反動主義者、歴史修正主義者の亡霊が

 いまだに跋扈している現実に驚きを禁じえません。

 まあ、とりあえずは育鵬社歴史教科書が県内で採択

 されなくて良かったと思ってます。.