食品の安全問題に取り組んでいる私は、農薬・化学肥料を使わない
「自然栽培」のことと理解して、分かったふうに「有機栽培」という
言葉を使うことも多いのですが、「有機」の語源を知りませんでした。
明後日の23日に講演会を開催する食品安全問題の専門家「安田節子」
さんの著書「食卓の危機~遺伝子組み換え食品と農薬汚染」を
読んでいたら有機農業の語源が紹介されていました。(この本は
講演会当日に会場で販売します)
"有機農業”という言葉は、1971年に「日本有機農業研究会」設立者の
一楽照雄さんによって作られたそうです。今から51年前ですから
意外に新しい言葉なんですね。
一楽さんらは、近代農業が農薬・化学肥料漬けになり、加工食品が氾濫して
食品添加物が多用されていくことに危機感を覚え、農と食を本来の姿に
戻そうという運動を始めていました。会の設立に当たり、適当な名称を
探していた一楽さんは”日本酪農の父”であり政治家・酪農家でもある黒沢酉蔵
さんのもとを訪ねます。その時一楽さんから[機農」という漢書のことばを
教えられました。
機とは大自然の運行の仕組みをいう言葉で、農は「天地、機有り」、
つまり機農とは、自然のことわりを尊重し自然に合わせた農をせよ
という意味なんですね。その言葉に天啓を受けた一楽さんは、自身が立ち上げた
会に「有機農業」という言葉を充て、「日本有機農業研究会」という名称を
つけてから有機という言葉が浸透するようになったそうです。
有機農業というと、農薬を使わないとか、有機物を土に入れるなどの
方法論ではなく、自然のことわりを尊重するという思想のことなんですね。