東電に巨額の損害が生じたとして、株主が東電旧経営幹部5人
に会社への22兆円の損害賠償を求めた株主代表訴訟で、
経営幹部4人に東京地裁が13兆3250億円の支払いを命じました。
先に業務上過失致死傷罪で争われた刑事訴訟での一審は経営陣3人を
無罪としましたが、この民事訴訟では経営陣の責任を厳しく断罪したと
して原告側は「満点判決」と評価しています。
私もあれだけの事故を起こしておいて、東電だけでなく国策として
「原発政策」をすすめた政権側も含め誰一人責任を取らなかった
ことに怒りを感じていましたが、民事で厳しく責任を取らせる判決
を出したことは評価できると思っています。しかしまだ一審なので
被疑者側は控訴するでしょうから、司法も上に行くほど政権に忖度
する判断がありうるので、最終判断まではまだ相当時間が必要なの
でしょう。
そうこうしているうちに、どこかの国の元首相じゃないですが、
被告の旧経営幹部が永眠され、結局だれも責任を取らない間に
うやむやになってしまうことを心配しています。
旧経営幹部が、なぜ政府の地震調査研究推進本部が公表した
地震予測「長期評価」に基づく最大15.7mの津波の可能性大との
可能性を示した東電子会社の試算を高裁は「相応の科学的信頼性
がある」と認定したのに、2008年7月に試算の報告を受けた
旧経営幹部が信頼性を疑い土木学会に検討を依頼して見解が
出るまでの間、津波対策を放置したのか?というのが私の
ナゾなんです。
というのは、電力会社は半官半民のような公共性の高い事業を
営んでいますので、コストダウンにこだわるあまり「安全対策」
をおざなりにしないよう「総原価方式」経営がとられているからです。
総原価にたいして3%の利益が保証されている事業なんですよ。
経営側にしてみれば「総原価」が高ければ高いほど、利益の絶対額
が多くなる美味しい仕組みですよね。1万円の3%と10万円の3%では
利益の絶対額は全然違いますもんね。経営陣の大きな目的の一つには
「利益の最大化」もゼッタイにあるはずです。
それなのに、政府の地震調査研究推進本部というれっきとした政府機関
が公表した地震予測に基づく15.7mの津波襲来の予測とした、どこに
だしても通るデータがでたので、東電としては15.7mの津波に耐えうる
対策をとるとして防潮堤設置や原子炉建屋の浸水防止策に踏み切り、
総原価をあげておけば、事故も防げたかもしれない上利益が最大化でき、
よしんばそれでも大きな被害があったとしても東電としては「しかるべく
対策はしていた」として,情状酌量の余地もあったかもしれないのにと
思っています。
経営者としては、対策をしておいた方が「万々歳」のハズなのに、対策先送り
という道を選んでしまったのかが、私のナゾなんです。