ワタシは歴史好き(家内もかなりの歴女)ということもあって日本の話芸のなかでは「講談」が一番好きなんです。
でもって日本講談協会所属の講談師たちが交代出演で新宿の「永谷ホール」という100名も入れば一杯に
なる小さな寄席で、偶数月の第3月曜日に定期公演を開いてくれてます。
ちょうどいいことにワタシの糖尿病の経過観察の主治医(カントリー仲間)が新宿なので、講談の定席が
ある日にワザワザ予約を入れてます。
と、いうワケで本日は定期検診後、新宿 永谷ホールの「夜の部」を楽しんできました。
本日夜の部出演の講談師は7名(男性2名、女流5名・・・現在の講談界は女流が主力だから華やかです)
みのり、紅佳、紅葉、きらり、愛山、真紅、鯉風(出演順) 姓はすべて神田
普通の寄席ですと講談出演は通常一人で「色もの扱い」の感じですが、講談協会定席は講談師しか
出ていませんので本格講談ばかりをしっかり聞くことができます。
講談というと古いものばっかりだと思う方のほうが多いと思いますけど、現代もの、外国ものと実にバラエテイ
に富んでるんです。
本日は「終戦から70年」と銘打って、なにかそれに見合う話をする「夜席企画」があってこれが大変面白かった。
終戦秘話ですね。
☆「並木路子 リンゴの唄」 神田真紅
父と次兄が乗った船をアメリカの潜水艦に撃沈されて亡くし、東京大空襲で逃げ込んだ隅田川で母を
亡くした松竹少女歌劇団(SKD)の並木路子に戦後初めての映画の主演の話が舞い込み、主題歌の
「リンゴの唄」が戦後まもなくで物資がない中12万5千枚を売り上げる大ヒットになった実話を
ベースに彼女の生い立ちや曲にまつわるエピソードの数々を話の中に織り込んだことに感心しました。
この映画は8月敗戦を迎えてすぐ企画が持ち上がり10月に公開する予定で早撮りで有名な佐々木康監督に
よって完成されたそうです。
この佐々木監督は「10日完成」監督とのニックネームがあったんだって???
戦時中の「灯火管制」のダジャレですよ。映画人にもダジャレ好きはいらっしゃったようで。
ただこの映画「リンゴの唄」は戦後打ちひしがれた日本の国民に明るい希望を持たせてくれた曲として
人気を博しましたが、映画の方は話題にならず、公開後1週間足らずで打ち切られてしまったと云うんですから
世の中わからないもんですね。。
この監督の撮影スピードが早すぎて詞はサトウハチロー氏のものが戦時中に完成してたんですが、万城目正
さんの作曲が間に合わず、やむを得ず当時のヒット曲藤山一郎さんの「丘を越えて」を並木さんが
唄い、後で録音したリンゴの唄をアフターレコーディング(アフレコ)で入れたんだそうです。
云わば「口パク」のハシリですよ。
講談師が調べてくるだろう、こういう雑学を知るだけでも講談は楽しいんです。
*映画 「そよかぜ」~リンゴの唄
https://www.youtube.com/watch?v=VDieNMkohEY
☆(終戦秘話)「緑十字機の不時着} 神田鯉風(トリ)
現在「日本の一番長い日」という終戦時の秘話をテーマにした映画が公開されてますが、これはその話にも
勝るとも劣らない本当の秘話。
米の連合軍と日本の降伏文書折衝に伴うスリル溢れる秘話。
米との交渉に、連合軍の指示により機体を「白地に緑十字」に塗り替えた攻撃機で沖縄伊江島に行き、
連動軍との合意した文書を抱えての帰路燃料不足となり、静岡 鮫島海岸に不時着(現在 磐田市)に
不時着したものの、なんとか東京に辿りつき9月2日の戦艦ミズーリーでの降伏調印式に間に合った
という秘話・・・実話ですが、この話はワタシも今日初めて知りました。
*詳しくは下記で検索してください。
<語り継ぐ>静岡戦後70年 終戦直後 鮫嶋海岸に不時着「緑十字機」
講釈師サン ずいぶん勉強しております。 鯉風の出身は静岡県です。だから耳にしていたのかも・・・
画像は今年「真打」に昇進したばかりでトリを務めた「神田鯉風」さんとの2ショット