夜の騎士のあれこれ噺

世の中にはあれ?これ?と思うことがいっぱい。

安丸良夫著「出口なお」

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作家活動してる九条の会のスタッフ仲間のOさんの著作に、しばしば
明治時代の神道系の新興宗教「大本(教をつけないのが正式な教団名)」
創始者出口なお」さんの思想が紹介されるので、どんな女性かを
知りたくて、Oさんから評伝本をお借りしてやっと読み終わりました。

なおさんは「おしん」に輪をかけたような困窮生活と家族の不幸のなか、
50代で神がかり状態となり「艮の金神(うしとらのこんじん)」という神の
お告げを「お筆先(おふでさき)に書き留め、娘婿で養子になった出口
王仁三郎が教義として整理し明治時代有数の巨大教団に発展させ
ました。

なおが神がかりにより創始した「大本」の教義は、すさまじい.終末観
を伴う世界全体の根本的な変革願望を言葉にした「立替え・立て直し」
思想であったので、これが明治政府には「革命思想」と解釈され
二度にわたり大弾圧を受けることになったんですね。

私が最も印象に残った部分は「まとめ」のところの以下の文章です。

 *今日の私たちの社会のこの「荒涼としたゆたかさ」は、なんらかの
   不安と憤りと苦悩とを覚える人たちにとっては、近代化の過程を
   ひた走りに走り、今日の「高度成長」へと到達.してゆく日本の
   近代社会を、その全体性において絶対的な”悪”として惜定し、
   異なった文明の形を要求したのであった。(264Pより抜粋)

現代日本」のそして世界を「荒涼としたゆたかさ」と表現した著者の
指摘に考えさせられました。