夜の騎士のあれこれ噺

世の中にはあれ?これ?と思うことがいっぱい。

原子力規制委員会が異例のダメ出し

東京新聞の社会部が渾身の調査記事を掲載する名物記事
こちら特報部」が本日もヒットを飛ばしました。

原子力機構の高速実験炉「常陽」の再稼働審査申請に対し
「補正申請書等により適切な資料が提出されるまで保留する」と
申請内容を改めない限り「適合」どころか「審査」にさえ入らないと
マッタをかけたんです。

マッタの理由は、申請書では14万キロワットの熱出力を、出力減の
改造などはせず、運転時に10万キロワットに抑えるとなっていたから
なんです。

なんでか?

出力が10万キロワット超なら、半径30キロ圏内の住民避難計画
を立てる必要がありますが、10万キロワット以下なら半径5キロ
以内の避難計画でいいからです。

ですが、事故想定は14万キロワットで出している。出力だけ10万キロ
ワットと表記する「二枚舌」のようなやり方には、大甘審査で私は
あまり信用してない田中委員長が「750ccのオートバイを30キロ以下で
運転するから原付の免許でいいですよねと云ってるようなもんだから
許すわけにはいかない」珍しく分かり易い説明でマッタをかけてくれ
ました。

「常陽」をどうしても再稼働させたいのには理由があります。

それは昨年末に政府が高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉を決定
したからなんです。もんじゅ廃炉は事実上「核燃料サイクル政策」の
破綻を意味するんですが、やめてしまうと日本の原発政策に
大きな支障をきたすんですね。

まず、青森県六ケ所村の「再処理工場」が不要になる。20年以上
たっても未完成の再処理工場ですが、再処理のために、すでに
全国の原発から大量の使用済核燃料が運びこまれてますが、
これを青森県外に運びださなければならない。

使用済み核燃料を六ヶ所村で処理できないとなれば、今後原発
再稼働させて出る使用済み核燃料の持って行き場がなくなるので、
再稼働を進めたい政府は「常陽」再稼働に目をつけたワケです。

「常陽」は、1兆円をつぎ込んだ挙句「廃炉」を決めたもんじゅの1段階前の
「実験炉」です。それで「詐欺的二枚舌申請」をしてでも早く再稼働を
させたいんですよ。

この状況に対し長崎大の鈴木教授(原子力工学)は「再処理工場を
完成させ、いずれ高速炉で再利用するという原子力ムラのストーリー
にほころびが生じるので、新たな使用済み核燃料を出すことは難しく
なる。つまり、政府は原発を止めざるを得なくなるため「高速炉開発
を目指す」と言い続けるしかないのです。

また、日本は「利用目的のないプルトニウムは持たない」と国際的に
約束しているので、「常陽」が再稼働できなければ現在約48トン保有
しているものの利用目的がなくなるので、来年7月に30年の更新満期
を迎える米国が日本にプルトニウムの抽出を認めた「日米原子力協定」
の延長を米国は認めないだろうとみられてます。

前述の鈴木教授は「高速増殖炉の実用化の見通しは立たず、どの
電力会社も手を挙げなかった現状を考えれば、政府がいくら将来
実証炉を開発する方針を掲げても運営する事業者が現れるか疑わしい。
今が核燃料サイクルから撤退する潮時だろう」と指摘してます。

原子力ムラ住民のみなさん、この際「常陽」の再稼働はあきらめなさい。
そして「日本.と再生」の映画をみて自然エネルギーにシフトしなさい。

原発のウンチ(使用済み核燃料)の垂れ流しはひとまず止められるし
米原子力協定のほうも米国の方から更新を断られるので、原発
を辞める「踏ん切り」がつけられますよ。

   ☆動画  (茨城)高速実験炉 再稼働へ申請方針 2016.1.26


      ☆もんじゅ廃炉 「するワケ無い! その理由!」  金子勝