夜の騎士のあれこれ噺

世の中にはあれ?これ?と思うことがいっぱい。

中学社会科 模擬授業

現在、中学社会科の授業で「育鵬社(いくほうしゃ)」が発刊した「とんでもない教科書!」が続々学校現場で
採択されてるのをご存知でしたか?

昨日、教科書フォーラムが主催した「模擬授業」が近くの公民館で開催されたので、中学生に戻った気持ちで
2時限の模擬授業を受けてきました。

模擬といっても、学校現場で実際の教師をしていた先生が中学生に教える通りに授業をしてくれるんです。

1時限目は「歴史」をつい最近まで40年間にわたり社会科教師をしてきた女性教師により育鵬社教科書の
太平洋戦争の項目の授業を40分

まるで「神国日本」「軍国少年」をそだてるような洗脳教育・・・太平洋戦争はアジアの植民地を解放した
戦争だったと美化しまくってる内容です。   
この教科書出版会社の背後には極右の産経グループの陰がちらついており、さもありなんと云うところですね。

ワタシがその頃の歴史を初めて習う中学生だったとしたら、教師の教え方のうまさもあって完全に洗脳されて
しまいます。

2時限目はやはりつい最近まで約40年間教師を務めてきた男性教師による「公民」の授業を70分間
我々の時代は「現代社会」といわれた教科をいまは「公民」と呼んでるようですね。

ここで「憲法」「法律」「統治機構」「人権」「国家」「国際社会」「資源・エネルギー」など現代社会の
広範にわたる仕組みや問題を学習するようです。

これを1年かけて学ぶわけですが昨日の模擬授業では、この1年分のものの育鵬社教科書の偏向箇所の
おかしさ・問題点を70分にまとめるワケなので講師役の先生も大変でした。

なにより自民党改憲案に同調するように仕向ける内容です。

この育鵬社発行の教科書の何が問題かが配布された資料の下記の記述から読み取れました。

育鵬社が発行してる「教育再生」という本の解説DVDに登場する老人がこんな発言をしているそうです。

  ・反戦平和や護憲、アイヌや在日外国人への差別撤廃、環境保護地球市民をめざすなどと息巻いてる
   ものは「有害添加物=毒」みたいなもんじゃよ

  ・「教育とは本来、押し付けるもの植えつけるもの」なんじゃ

  ・国際関係は軍事力・経済力で競争する場、紛争を理性的な話し合いなんかじゃ解決しないんじゃよ

ここにこの会社の教育についての編集ポリシーと文科省のホンネが凝縮されてると思いました。

注意が必要なのはこの教科書が全国で42,170冊(2011年 子どもと教科書全国ネット21調べ)
も採択され、公立中学でも「歴史が2,520冊」「公民が」2,240冊」採択されてる実態です。

自民政権と日本会議は中学生から改憲教育を着々と進めてます。
我が秦野市内の中学校は比較的、公平・客観的な記述をしている「清水書院」の教科書を採択してる
というのでチョビっと安心しました。  けど全国的にみたら大きな問題ですね。特に神奈川県では
横浜市藤沢市育鵬社の歴史教科書が採択されてるのが問題ですね。

世界的にみて教科書えらびに教師が関わるのは常識なのに日本の教師には教科書採択の権限がありません。
先進国では日本だけだそうです。

  *国際労働機関(ILO)・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」(1966年)

   教員は「生徒にもっとも適した教材および方法を判断するための格別の資格を認められている

日本は教育委員に教科書の採択権が与えられてるらしいが・・・

数人の教育委員で教科書をすべて読みこなし採択を行うことは、時間的にも内容的にもどだいムリな話です。
中学校の今教科書は9教科104点、社会科だけで合計5000ページあり、教育委員のもとに
教科書見本が送られ、結論をだすまでの検討期間は長くても90日程度だそうです。

教科書えらびに教師が関われるようにしなきゃウソですよね。

この歳になって市民運動に関わるようになり、日々いろいろな不都合な実態が解り「なんとかしなきゃ!」
の気持ちが沸々と湧きあがってくるので元気モリモリですわ。