夜の騎士のあれこれ噺

世の中にはあれ?これ?と思うことがいっぱい。

水島朝穂著「はじめての憲法教室」

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今年の3月20日厚木市文化会館小ホールで開催
された「厚木・九条の会」13周年記念講演で、早稲田
大学法学部学術院の水島朝穂教授の熱意溢れる、
明快な講演を聞いて、つい購入してしまった著書
「はじめての憲法教室」(集英社新書)を読み終わり
ました。

この本の主題.は「そもそも憲法とは何か」ということ
であり、水島教授は第一義的には、国家権力を制限
する規範であり、国民が国家権力に対して突き付けた
命令である。国家権力が何かを行う時、その動きに
枠をはめ、動く方向を指示し、国家が介入しては
ならない個人の固有領域(思想や宗教など)を明示
する。憲法には、国家が「してはならないこと」と
「しても良いこと」の基本が書き込まれている。.
そこに書かれていないことは、原則としてできない。
国家は憲法によって授権されたことしかできないので
ある。単純化して言えば、憲法は「国民みんなが
守る大切な決まり」ではなく、「国民みんなで権力を
制限する大切なきまり」ということになる。

こうした憲法に基づく国のありようを「立憲主義」という。

「よい政府」は存在しないが、それに接近することは
できる。そのための最良の方法は、権力者が人々の
猜疑心にさらされ続ける仕組みが安定的に存在
することである。これが立憲主義に基づく国の
ありようである。

という「憲法のキモ」を明示した上、このテーマに
関する課題について「水島ゼミ」で法学部学生との
討論を紹介する形なので、大変読みやすく、学生
の目の付け所にも感心しながら読み進められました。

あとがきで水島教授が指摘する「憲法改正の三つの
作法」が紹介されます。第一は「憲法改正を発議
する側に重い説明責任が課せられていることで
ある」、第二に「憲法改正のための情報が十分に
提供され、かつ自由な討論が保障されることである」
第三に、「十分な熟慮の期間が確保されねば
ならない」

2020年の憲法改悪を唱える安倍自公政権
上記の「三つの作法」をぜんぜん無視で期限重視の
チカラ任せの乱暴さしか感じられません。

そもそも憲法99条で憲法を尊重し、擁護する義務
を負っている安倍首相が先頭きって憲法改悪を
言いだすこと自体が「憲法違反」です。

憲法を護ること(すなわち、国民の指示に従うこと)
が頭の中にない安倍首相に「憲法改悪」をいいだす
資格はありません。