夜の騎士のあれこれ噺

世の中にはあれ?これ?と思うことがいっぱい。

白井聡:約8年におよぶ第2次安倍政権の総括「失われた公正と正義」

約8年におよんだ安倍政権とはなんだったのか?

ベストセラー「永続敗戦論」「国体論~菊と星条旗」で

日本の米国従属という病巣を鋭く摘発した気鋭の政治学

(1977生まれ)で京都精華大学人文学部専任講師の白井聡

さんが8月30日に朝日新聞の「論座」に約8年におよんだ

安倍政権を総括するレポートを掲載し、評判になっています。

ネットで読むことが出来ました。その内容に私は全面的に

同意しましたので、要旨を抜粋引用して紹介させてもらいます。

(要旨抜粋でも、大分長い引用になりますが・・・)

白井聡 7年余りの安倍政治の総括。私たちの再出発

     は.、公正と正義の復活無くしてあり得ない。

この政権が継続することが出来たのは、多くの日本人が安倍

政権を支持してきたからである。この事実は、私にとって

耐え難い苦痛であった。時々の政権に対して不満を感じ、

「私は不支持だ」と感じていた時も、その支持者たちに

対して嫌悪感を持つことはなかった。この7年間に

味わった感覚は全く異なっている。絶対に許容できない

ものを多くの隣人が支持しているという事実は、低温火傷

のようにジリジリと高まる不快感を私に与え続けた。

 

あちこちで指摘されてきたように、どの領域においても

安倍政権は長期安定政権にもかかわらずロクな成果を

出せず、殆どの政策が失敗に終わった。だが真の問題は、

失政を続けているにもかかわらず、それが成功しているか

のような外観を無理やり作り出したこと、すなわち嘘の上

に嘘を重ねることがこの政権の本業となり、その結果、

「公正」や「正義」といった社会の健全性を保つために

不可欠な理念をズタズタにしたことにほかならない。

 

その象徴と目すべき事件が、伊藤詩織氏に対する山口

敬之のレイプとそのもみ消しである。この事件は、犯行

そのもの、逮捕の撤回、明るみに出た際の安倍支持者に

よる被害者への.誹謗中傷、もみ消し当事者の中村警視庁

刑事課長(=当時)のその後の出世(現在、警視庁次長、

すなわち次期警察庁長官の最有力候補である)という

すべてが腐りきっている。このような事件を起こした政権

を合法的に継続させているという一事だけでも、現在の

日本国民の悲惨な道徳的水準を物語っている。

こうして、腐敗は底なしになった。森友学園事件、加計

学園事件、桜を見る会の問題などはその典型であるが、

これらで安倍政権は己の腐りきった本質をさらけ出した。

不正をはたらき、それを隠すために嘘をつき、その嘘を

誤魔化すためにさらなる嘘をつくという悪循環。それは

ついに、一人のマジメな公務員(財務省近畿財務局の

赤木俊夫氏)を死に追い込んだ。高い倫理観を持つ

ものが罰せられ、追従して嘘に加担するものが立身

出世を果たす。もはやこの国は法治国家ではない。

 

そして、公正と正義に目もくれない安倍政権がその

代わりとする原理は「私物化」である。それの実体的

な領域を挙げるならば、大学入試改革の問題を見て

みればよい。十分に機能してきた制度(センター試験

をわざわざ潰して民間業者を導入する主たる動機は、

安倍の忠実な従僕たちの利権漁りである。安倍自身の

知性に対する憎悪がそれを後押しした。もちろん、

次世代の学力など完全にどうでもよい。ある世代が

丸ごと私物化されようとしたのであり、それは言い

換えれば、この国の未来を犠牲にして利権に引換よう

としたことに他ならない。かくして、モラルは崩壊し、

政治の場、国家機構そのものが、政官財学で跋扈する

背広を着た強盗どもによる公金のぶん取り合戦の空間

と化してきた。新型コロナ対応のための補助金支給業務

において、この腐敗は鮮やかに現れた。私物化の原則は

権力の頂点から発し、恥を知る者を除く万人を私物化

競争に誘いだして行ったのである。

 

相も変わらず、テレビワイドショーは、次期総理は

誰だ、といった愚にもつかない政局談義を垂れ流して

いる。おそらくテレビ局は、自分たち自身と視聴者が

どこまで愚物になり果てることが出来るのか、人間

の限界に挑戦しているのであろう。

 

日本の再生のためには、安倍政権で失われたもの、

すなわち公正と正義をめぐる議論が提起され、それが

実行に移されなければならない。

 

安倍首相の体調不良とこれまでの政権運営における

責任の問題は、完全に無関係である。健康問題の

ために、この7年余りの間に犯してきた罪に対する追及が

ウヤムヤになることは、絶対に避けられなければならない。

私たちの再出発は、総理自身の違法、脱法行為の究明が

絶対的に必須である。少なくとも、山口敬之レイプ事件、

森友学園事件、加計学園事件、桜を見る会、河合夫妻の

事件の計5件の事件については、徹底的な究明がなされ

なければならない。そして、当然、究明に引き続いて

安倍のみならず関与したたのものの訴追と処罰も

なされなければならない。この過程を検察に任せきり

にするのではなく、国会内に真相究明の特別委員会の

ような機関が設置されることが望ましいと思う。

 

安倍晋三がらみの事件の実質は、山口敬之レイプ

事件=性犯罪とそのもみ消し、森友学園事件=明恵

夫人の暴走・国有地の叩き売り、加計学園事件=

単なる身びいき・公金の横流し桜を見る会=有権者

の買収、河合夫妻の事件=私憤と子分への肩入れ過ぎ、

であるにすぎない。どの事件にも、その背後で社会

構造の大変化などを感じさせるものは何もなく、ただ

ひたすら凡庸でケチ臭い。それは安倍晋三という人間の

パーソナリテイの身の丈にまさに合致しているといえる

のだが。まさにこうしたスケールの小さい悪事の.積み重ね、

その隠蔽、嘘につぐ嘘といった事柄が、公正と正義を

破壊し、官僚組織はもちろんのこと、社会全体を蝕んで

きたのである。その総仕上げが、黒川弘務を検事

総長に就任させようという策動であったが、これが

国民の意思の爆発的な噴出(ツイッター・デモ)に

よって阻止されたことの意義は巨大であるといえよう。

 

繰り返して強調するが、後継者が誰になろうが(仮に

政権交代が起こったとしても)、安倍時代の不正の追求が

正面から行われない限り、本質はなにも変わらない。

第二、第三の安倍がまたぞろ現れて、日本社会の腐敗を

一層促進するだけのことになる。  ~抜粋引用終わり~

 

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

日本の検察当局が、せめて韓国検察なみの仕事を

してくれたら、安倍首相の「監獄行き」は間違い

ないのになぁ~~!