夜の騎士のあれこれ噺

世の中にはあれ?これ?と思うことがいっぱい。

日刊ゲンダイ誌が堂々たる「正論」を展開

昨日の「日刊ゲンダイ誌」の巻頭記事が

日本全体が「隣組化」というコロナ禍に

おける社会風潮が大きな問題であるとの

警鐘記事を特集しており、私もその通りと

思っていたので、抜粋しておきます。

・政府が無能だと、自粛生活が長期化する

ことを覚悟しておかなければならない。

そこで気になるのは、浮足立つ国民の間で

相互監視の風潮が目立ってきていることだ。

全国知事会は29日、政府の緊急事態宣言の

 一律延長を求めると同時に、休業指示に

応じない事業者を対象に、罰則規定を

設ける法改正などで対策を強化することも

要望した。

・問題は、自粛要請に応じない場合に厳しい

罰則を求める声が、市民の間からも上がって

いることだ。営業中のパチンコ店や飲食店

、さらに他県ナンバーの車に自粛を

迫る張り紙をする人々も出て来た。営業を

続ける店に対し、脅迫めいた言動もあるという。そういう人々を指して「自粛警察」

なんて言葉も生まれているが、そうやって

彼らが”取り締まり”に出歩くことは問題

ないのか。正義だから許されるとでも

いうのだろうか。

憲法29条に定められた財産権でも、

私有財産は,正当な補償の下に、これを

公共のために用いることができる」と

あります。感染症対策であっても、それなりの

補償がなければ、営業自粛を強制する

ことは難しい。基本的人権を尊重するのが

成熟した民主主義社会だからです。自分は

自粛要請に従って苦しい生活を送って

いるのに、楽しそうにしている人の抜け駆け

は許せないという処罰感情から、私権制限

を市民の側が求める風潮は危険極まりない。

関東大震災で一般市民による自警団が

朝鮮人虐殺に走ったのと同じようなことが

起こりかねません。

・自粛要請に従わないパチンコ店を公表する

なんて、権力者のパフォーマンスでしかない。

やむにやまれず営業を続けている店を攻撃

する前に、潰れそうな店を救おうとしない

政府に文句を言うべきです。仕事をしな

ければ 明日からの生活に生き詰まる人が

いるということが、政治家や官僚、学者など

経済的な痛みを感じたことがないような人たち

には想像も出来ないのでしょう。自分たちが

普段行かないような店は、潰れてくれて

構わないと言ってるようにしか思えません。

・補償を棚上げしたままの自粛要請では、

経済活動を完全に止められない。そうなると、

自粛による感染拡大の防止効果も怪しくなる。

それで.国民の不安はいや増し、自粛警察が

跋扈して、リンチのような社会制裁が

横行する。

・自粛要請に従わない不届きものを

取り締まってほしいという声が市民から

上がっている現状では、罰則規定が世論の

支持を得られる可能性も高いと思います。

ただ、全国的にパチンコ店がクラスター化

した例はないのに、罰則を設けてパチンコを

規制する必要が本当にあるのかどうか、

法改正にはエビデンス(証拠)が必要です。

・そもそも「3密」を避け、他者との接触

を8割削減するのは、これ以上の感染拡大

を防ぐためだったはずだ。それが8割削減が

目的化してきているのではないか。だから、

自粛しない人を責める。非難を恐れて

散歩に出るのさえためらってしまう。

・自粛という曖昧な要請が、市民側の相互

監視を喚起し肥大化させ、「あの店は

営業している」と通報する密告社会が急速に

形成された。戦時下の「隣組」の復活である。

隣組は,大政翼賛会の末端組織として、

官主導で町内会の内部に形成された。市民に

よる相互監視社会は統治者にとって安上がり

なのだ。自ら手を下す必要がないからである。

ナチスの秘密警察ゲシュタポによる

逮捕者も、殆どが密告によるものだった。

・あくまで要請に過ぎない休業に盲目的に

従う法的義務はないのに、営業を続ける店が

攻撃対象になり、国民の分割を生む。

そういう同調圧力を利用しようと虎視眈々.

の権力。こういう社会情勢の方が非常事態だ。

敵はコロナだけではなく、狂った社会が

2次被害、3次被害を引き起こし.かねない。

・営業自粛への監視を厳しくする一方では、

中小企業は立ち行かなくなり、解雇者も

爆発的に増える。経済的な理由によって、

コロナ感染による死者を自殺者が上回る

可能性があります。しかし、政府は新型

コロナの流行さえ収束すれば、体力がない

中小企業がどれだけ潰れようと、長引く

外出自粛で多くの国民が健康を損ねようと

構わないのでしょう。その結果として

自殺もうつ病も、アルコール依存症

自己責任にされてしまうのです。

・国民生活は疲弊し、それでも政府は

何の補償もせず、勝手に自粛しただけだ

と突き放す。日本全体の「隣組化」は、

政府の無責任体制を担保する装置でしか

ない。絶対に責任を取ろうとしない安倍首相

だけが高笑いだ。