夜の騎士のあれこれ噺

世の中にはあれ?これ?と思うことがいっぱい。

意外な日本の「石炭火力発電技術」

今読んでいる「なぜ、いま東アジア共同体なのか」の、
今日読んだ部分に、私にとっては意外な事実が紹介
されてました。(ジャーナリスト高野孟編著部)

世界の発電源の主力は今も石炭で、世界平均で40%、
エネルギー消費量世界第一位の中国では79%、第二位
の米国で45%、第三位の日本でも27%、さらに第五位
のインドで69%を占めている(2009年)

石炭火力のメリットは資源量が豊富で低価格で
安定していることにあり、最大のデメリットはガス
火力の2倍の二酸化炭素を排出することである。

日本は「超々臨海圧」と言って石炭ガスを高温
で燃やして発電効率を上げ、従来型に比べて、
二酸化炭素を15%程度削減する技術で最先端
を行っており、石炭火力の発電効率で世界トップ
の41.4%を達成している。他国に.比べると、米国
37.1%、中国35.6%、インドに至っては世界最低.
クラスの28.4%に留まっている。

仮に日本で運転中の最新技術を中国、米国、インド
の三か国に導入すると、二酸化炭素の削減量は
年間推定13億トンで、これは日本の二酸化炭素
総排出量に匹敵する。

仮のまた仮の話だが、日本政府が金を出してこの
三か国の効率の悪い石炭火力を全部、日本製の
新品に置き換えると、日本は世界に先駆けて
二酸化炭素排出ゼロ」を達成してしまう。

さらに、次世代の「石炭ガス化複合発電(IGCC)」
や「石炭ガス化燃料電池複合発電((IGFC)」も2020
年代に実用化することを視野に入れている。これで
中国、米国、インドの石炭火力をリプレイスすると
二酸化炭素削減量は26億トン、現在の日本の
総排出量の二倍となるのである。

環境派は.石炭と言えば汚いと毛嫌いするが、高野氏
は逆に日本の石炭発電技術にはおおいなる夢が
あって、国内で原発を再稼働するよりも安価な
石炭火力をどんどん増やして、その分、天然ガス
輸入を抑えつつ.、「水素エネルギー社会」の実現
までの間をつなげばいいし、海外に対しても、米国は
ともかく、中国とインドに石炭火力の先端技術を
普及して原発の増設にブレーキをかけ、最終的には
日本と共に「東アジア.水素エネルギー共同体」の形成
を目指すべきだと考えている。(以上同書176P~178P
より抜粋引用)

これは高野氏、鳩山由紀夫元首相が構想する
「東アジア経済共同体」は、おおきな枠組みの議論を
いつまでしていても仕方がないので、多角的な協力の実のりを上げやすい分野から「東アジア〇〇共同体」を
民間主導で次々に作りだして、そのレイヤー(階層).
を積み重ねていくうちに自ずと全体の枠組みが
見えてくるというアプローチを大事にしようとする
なかでの、一つの具体的な提案なんですね。

読んでて、日本として取り組みがいのある提案
だと思いました。野党連立政府樹立の際は、世界
環境のために、ぜひ国策としてとりあげてもらいたい
課題です。